部屋探し

2. 1 部屋探し

初めての土地で住居を探すというのはとても大変なことです。いわんや外国でとなると、言葉や文化や慣習の違いなどでさらに困難が増します。以下では、筆者の体験と知り合いからの情報をもとに、住居探しについて書きたいと思います。

【住宅の種類等】
住宅の種類に関しては大まかには次のようなものがあります。

  • Wohnung / Zimmer:
    一般的には部屋、台所、トイレ、お風呂(あるいはシャワー)などが備わった住居をさすようです。場合によっては一部屋のみで、シャワー・トイレなどが共有の場合もあります。
  • Wohngemeinschaft(WG):
    これは部屋が複数あるWohnungに複数人が居住する形態で、各人は一つの部屋を持ち、台所、風呂、トイレなどを共有する形態が一般的です。要は、一人では高くて住めない家でもみんなで共同で住めば住めるという考えです。従って個人個人の結びつきは通常のWohnungの場合より強く、共同生活の色合いが濃いと言えます。WGの場合は、募集にそのように書いてあります。また、契約前に面接がある場合も多いです。

    WGをしている人の話によると、「安いし、寂しくなくよい」そうです。実際に、ドイツ人の住居を訪ねると、問題なく生活しているようです。しかし、部屋に帰って来た時に、同居人の友達が、何十人も共通スペースやキッチンにいたりする、ということがあることも事実ですし、各部屋に鍵はないことが多いそうです。

  • Studentenwohnheim:
    一種の学生相互扶助会であるStudentenwerkという組織が管理運営している学生寮で、いわゆる「大学の寮」です。一部屋の物から、いわゆるワンルームマンション(アパートメント)形式のものまで、形態は様々です。その他、公的、民間の寮もあるようです。

    これ以外にも、ホームステイとか居候とか人によってはさらに住居形態は広がるでしょう。

【住居探しで重要なキーワード】

  • Zimmer:
    部屋の数です。キッチン、風呂、トイレはこれに含めません。
  • warme / kalte Miete:
    家賃の形態です。単にwarm / kaltと書かれている場合もあります。warme Mieteは共益費、光熱費(暖房と水)込みの家賃を表し、kaltは共益費、光熱費を除いた家賃を意味します。 (電気代は光熱費に含まれている場合と含まれていない場合があります。)さらに比較的大きい(2部屋以上)の住まいの場合、家賃はkalte MieteとNebenkosten/NK(諸経費)の組み合わせで記載されているのが普通です。
  • Möbliert:
    これも留学生には重要な情報です。部屋に家具が備わっていることを意味します。この「家具」の内容は物件によってまちまちで、ベッドと机くらいしかないものから、鍋・皿、布団まですべて揃っているものもあります。ですから、可能な限り自分の目で物件を見ることが大事だといえます。
  • Alt- / Neubau:
    大雑把に言ってAltbau/ABは第二次大戦前に建てられてたもので、Neubau/NBはその後に建てられたものです。日本と違って新しいほど良いというわけではありません。ドイツではrenoviertなどと書かれた改装されたAltbauの人気が高く、また家賃も高いようです。確かに間取りが広く天井も高いのでゆったりしています。AltbauとNeubauはこのような違いなのでとにかく中を確認してみる必要があります。
  • Heizung:
    暖房のことで冬の寒いドイツでは重要な情報です。セントラル・ヒーティング(Zentralheizung)、石炭暖房(Kohleheizung)が代表的で、出来れば前者が良いと思います。石炭のストーブ(Ofen heizung)も趣があってよいともいえますが、ドイツ人も寒いと言っています。それから石炭を補充するのも面倒です。ガスヒーティング (Gasetagenheizung) はwarmの家賃に加えてガス代が結構かかります。
  • その他:
    住居の広さは平方メートル(qm)で表されます。契約期間も最低あるいは最長契約期間が決まっている場合もあり、家主さんに確認する必要があります。ドイツではキッチンごと引越しする人がいるので(特に家族向け物件)、キッチンがあるかどうかも重要です。 Einbauküche/EBKはシステムキッチンが備え付けてあることを意味します。 WannenbadあるいはBadwanneとあれば浴槽つき、Duscheとあればシャワーのみです。Kücheとあれば台所付ですし、Balkonとあればベランダ付です。また、何階かも重要です。Erdgeschoss/EGは日本で言うところの一階、 Obergeschoss/OGは2階以上、Dachgeschoss/DGは屋根裏です。地階や半地下階Souterrainは日当たりが悪く、寒くてじめじめしている場合があるので、実際見て確かめたほうが良いでしょう。募集にはhell(明るい)とかdunkel(暗い)とか書いてある場合もあります。privatは「不動産屋さんと通したものではないですよ」と言う表示で、この場合仲介手数料(Provision/Prov.)を払わなくてすみます。仲介手数料なしを表す単語は Provision freiです。これ以外にもいろいろありますが、新聞の物件欄に情報の見方があるのでそれを参照するといいでしょう。

【どこで探すか】

  • 知人、大学(主にAAA)の紹介:
    こういう紹介があれば自分で探す手間が省けます。大学から送付される入学許可に学生寮の入寮についての情報があるかもしれません。学生寮については大学の AAAあるいはStudentenwerkに早めに問い合わせておいたほうが良いでしょう。留学生が優先的には入れる場合もありますし、制限がある場合もあります。この他、知人を通して、大学教授の紹介、あるいはある団体の紹介などで、渡独前に住宅確保が出来る幸運な人もいます。この場合は事前に物件を見られないというリスクはありますが、奨学金授与開始月に付随する登録等の諸手続きのことを考えると、住居探しという不安が一つ減るだけでも心的負担はずいぶん軽くなると思います。ですから、事前に受け入れ先の担当者(教授)とコンタクトを取って、できれば、住居を紹介してもらうのも一手だと思われます。
  • 新聞・インターネット:
    新聞がドイツ人にとって最も一般的な住居探しの方法です。住宅情報(部屋を貸したい人および借りたい人)が週に1、2回新聞紙上(Immobilienという欄)に載ります。曜日は都市や新聞によって違うと思うので前もって調べるといいでしょう。土曜日辺りが多いのではないかと思います。インターネットでの情報は新聞社のHPに結構あります。これも住む都市の新聞社のHPを調べておくといいでしょう。筆者の聞いたところでは、普通のお堅い新聞よりも地元密着で大衆的な新聞の方が若者向けの安い物件が多いそうです。時間に比較的余裕がある場合は自分の希望する物件情報(大きさ、家賃等)を新聞に載せる手段もあります。これだと家主さんあるいは不動産屋さんが直接コンタクトを取ってきます。
  • 大学やStudentenwerkの掲示板:
    ここには寮やWG、さらにはNachmieter募集と言ってアパートに次に入居する人を募集している場合もあります。その他、スーパーマーケットの掲示板にも情報があるかもしれません。ここに住居の情報と電話番号があるので各自で問い合わせることになります。
  • Mitwohnzentrale (不動産屋):
    これは賃貸物件斡旋業者ですが、日本でいう不動産屋とは異なり、主に短期の住居を斡旋する組織のようです。言葉に自信がなく、探す時間があまりない場合は、業者に頼むのが確実でしょう。ただし、斡旋料(例。2ヶ月分のkalte miete)を取られます。 Mitwohnzentraleの探し方ですが、電話帳Gelbe SeitenやHPが有用です(1-6の【住居】の項を参照)。また、大学からくる書類にその情報があるかもしれません。

    知人、大学などの紹介で住居を確保できた幸運な人以外は自分で探すことになります。その場合、掲示板や新聞などで得た情報をもとに貸主に電話をかけまくる、というのが一般的な方法ですが、運が悪いとことごとく契約済みという場合もあります。ですから、自信と気力がない、あるいは効率よく探したいという人はMitwohnzentraleを利用すると良いでしょう。また、自分だけで探すよりはトラブルも少ないと思います。ただし、斡旋料については事前に聞いておいたほうが良いと思います。ドイツで代表的なのはHome Companyという業者で大都市にはたいていあります。HPはhttp://www.homecompany.de/で、そこを覗いてみるとだいたいその都市の賃貸住宅の相場などがわかると思います。

【住宅探しの手順】

  • まず、自分の希望をある程度まとめておく必要があります。家賃、広さ、暖房、家具つきか否か、大学からの距離、電話線が引けるか、などあらかじめ希望をリストアップしてちゃんと質問できるようにしておきます。ドイツ語が不得意でもこれらは単語を並べれば伝わります。また、語学研修中に探す場合はゆっくりと出来ますが、ドイツに到着してすぐにユースホステルなどに泊まりながら探す場合は、いつから入居できるかというのも重要な情報です。これについても広告等のSofort(すぐ)とかAb~(~から)などの情報にも気をつけましょう。
  • 上記の方法で興味ある物件が見つかったら、貸主に連絡をとり、物件を見に行きます。“Ich möchte mir Ihre Wohnung ansehen.’’と言えば大丈夫でしょう。それから自分の希望に合うかも確認しましょう。
  • 物件が気に入ったら、契約書の作成となりますが、この契約書はサインする前に必ずドイツ人などに見てもらいましょう。自分に不利な内容を知らずに契約したら大変です。特に解約(Kündigung)の仕方はトラブルの種なので注意が必要です。例えば、解約通知期間(K& uuml;ndigungsfrist)や解約時の補修義務の有無などです。Mitwohnzentraleで斡旋してもらったものならば、そこでチェックしてもらっても良いと思います。
  • 家賃や保証金(Kaution)の支払いについて具体的な指示があると思います。保証金は家賃1-2ヶ月分というような相場はなく、まちまちです。ゼロの時もありますが、多くて家賃2ヶ月分位でしょう。もし、保証金が高い場合はその土地の人に相場を尋ねたり、貸主に何故高いのかを聞いてみても良いでしょう。また保証金についてはDAADからその額の奨学金を前払いしてもらうこともできます。

最後に、住宅探しはとても大変で大変な労力を使います。大都市は物件、借りたい人ともに多いのでとにかく入れ替わりが激しく、ミュンヘンの住宅事情はとにかく大変です。いずれにしても需要と供給のバランスが大抵は取れているので、何とか見つかりはしますが、ハンブルク、ミュンヘンのような大都市では家賃も他の都市に比べてかなり高くなり得ることを覚悟しておいたほうがよいでしょう。

どこを仲介とするかも、自分のお金、気力・体力、才能を見極めて決めると良いでしょう。あれこれ手を打ってもなかなか見つからず、疲れて、焦って、絶望的な気分になるときもあるかもしれませんが、「物件なんて、見つかるときには見つかるんだ」くらいの気持ちでいたほうが良いかもしれません。付録Dの補足も参考にしてください。

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