取得学位 (得られる学位)
 ドイツの大学では2010年まで二つのシステムが並存する予定です。ひとつはディプローム(Diplom: 修士に相当)かマギスター(Magister Artium: 修士に相当)で修了する旧来のドイツの大学の履修課程で、将来的には廃止される予定です。もうひとつはバチェラー(Bachelor: 学士に相当)とそれに続くマスター(Master: 修士に相当)からなる新しいシステムです。学科によっては例外や異なる規則が設けられる場合もあります。
 そのため、同じ分野でも、たとえばバチェラー課程とディプローム課程が併設されている場合もあります。バチェラー課程の場合は、3〜4年間で国際的にも通用する学位を取得できます(ディプローム課程は通常 4.5 年間)。

バチェラーとマスター
 バチェラーはアメリカやイギリスなどにおいて、就職に必要な大卒資格として最初の学位であり、ボローニャ・プロセスに従ってドイツの大学にも導入されました。履修規定によりますが、バチェラーの取得には卒業までに合わせて180〜240単位を修得する必要があります。バチェラー課程は、週40時間、年間45週のペースで規定在学期間内に履修課程を修了できるよう構成されています。
 バチェラー取得後にさらに専門性を高めるために、バチェラー課程に引き続いて、あるいは数年間の職業経験を積んだ後にマスター課程に進むことができます。このとき、そのマスター課程はバチェラーを取得した学科と密接に関連した分野でなければなりません。ある学科でバチェラーを取得した後に、それに続くマスター課程が提供されているかどうかについては、各大学に問い合わせてください。
 マスターの取得には60〜120単位が必要で、マスター論文で専攻分野の学識が要求水準に達していることを示さなければなりません。マスターはディプローム、マギスター、あるいは国家試験に相当します。

マギスター (Magister Artium)
 マギスターは、人文科学系や社会科学系の学科を修了したことを証明する学位(日本の修士に相当)です。マギスター課程ではさまざまな科目を組み合わせて学ぶことができます。修了試験では主専攻1科目と副専攻2科目、あるいは主専攻2科目を選択します。マギスター論文に加えて筆記試験と口述試験が課されます。優秀な成績でマギスターを取得すると博士号取得の道が開かれます(「博士号取得」を参照)。

ディプローム (Diplom)
 ディプロームは、自然科学、工学、経済学、教育学、ならびに体育学の学科を修了したことを証明する学位です(日本の修士に相当)。この課程の修了に際してはディプローム論文、筆記試験および口述試験が課されます。ディプロームは産業界や経済界での職業に適した学位であり、また、マギスターと同様、博士号取得を目指すことも可能です(「博士号取得」を参照)。

国家試験 (Staatsexamen)
 医学、法学、薬学、あるいは教職課程を学ぶ学生は、国家試験合格をもって課程を修了します。国家試験は、国の試験委員会が行う試験です。この課程の修了者の多くは国家公務員になるため、大学で学ぶ内容と試験の内容は法律で規定されています。1次試験は理論面の試験であり、上記その他の修了試験に相当します。2次試験は、卒業後の実務研修修了後に行われます。
 ドイツの国家試験は留学生でも受験できますが、母国で就職する際にその資格が有効かどうかを調べておく必要があります。

博士号取得
 博士号は最高学位であり、独立して学術研究を行なう能力があることを示すものです。
 博士号取得は研究職キャリアの第一歩であり、多くの専門分野においてそれ以外のキャリアにとっても大きなプラスとなります。博士号取得には、新たな学問的観点を示す博士論文(Dissertation)、ならびに口述試験(Rigorosum)もしくは論文の「防衛」をする討論(Disputation)が必要です。専攻分野により異なりますが、博士号取得には2〜5年を要します。
 博士号取得を目指すには、平均以上の成績で大学の学部課程を修了していなくてはなりません。バチェラーの取得者でも、特別な手続きで能力が証明されれば、例外的に博士号取得の申請が許可されることがあります。
 また、研究指導を担当する指導教官 (Doktorvater または Doktormutter と呼ばれる)を捜す必要があります。ただし、教員には博士号取得希望者を受け持つ義務はありませんので、自分の研究を行うためにはどこの大学で研究するのが適切かを早めに調べておくことが大切です。大学学長会議のホームページの Hochschulkompass(www.hochschulkompass.de)にはこうした情報がわかりやすくまとめられています。
このほか、大学修了者のためのコレーク (Graduiertenkolleg) で博士号取得を目指す方法もあります。これは若手研究者を育成するために大学に設けられているもので、博士号取得希望者は包括的な研究プログラムの一環として博士論文に取り組むことができます。このプログラムは複数の研究者が合同で運営するもので、さまざまな専門の研究者が集まった学際的なものもあります。コレークの課程により参加者自身の研究内容が補足され、学術的な交流をスムーズにします。ドイツ学術振興会(DFG)のホームページには、助成制度のあるコレークの最新リストがあります。
 博士号取得希望者に向けては、特に留学生の必要に応じて組まれたプログラムもあります。これには学問上の助言や、学問以外の助言を熱心に行ったり、英語で行われる並行カリキュラムなどがあり、また、留学生を対象にした助成金も用意されています。
 DAADとDFGによる、博士号取得のためのインターナル・プロモーション・プログラム(IPP)や、インターナショナル・マックス・プランク・リサーチ・スクール(IMPRS、www.mpg.de)などは国際的な色彩を強く打ち出しており、特に優秀なドイツ人・外国人学生がドイツ全国の学術レベルの高いCOE(センター・オブ・エクセレンス)で担当教員の手厚い指導のもとで博士号取得試験に取り組めるようになっています。
 コレークとは違って常設のグラジュエート・スクール(Graduate School)を大学に設置している州もあります。グラジュエート・スクールでは主として英語で授業が行なわれ、ドイツ国内外の優秀な若手研究者は博士論文の集中的な個別指導を受けることができ、学際的・国際的な環境で論文を執筆することができます。

参考リンク
www.daad.de/deutschland/forschung/promotion
DAADによるドイツでの博士号取得に関する情報‐参考文献と詳細情報へのリンク

www.daad.de/international-pgrogrammes
インターナショナル・ドクタープログラムに関するDAADのデータベース

www.dfg.de
ドイツ学術振興会(DFG)のホームページ。コレークの情報を掲載‐最初に「Förderung(助成)」をクリックし、次に「Koordinierte Programme(連携プログラム)」へ