ドイツ滞在の手引き

2005年夏 ベルリンでのサマースクール報告

テーマ:救急医学
主催:Charité International Cooperation
場所:Charité病院 (ベルリン)
期間:2005年8月6日―26日
参加者:18名 (以下順不同)
オーストラリア1、ロシア1、日本1、エストニア1、ブラジル1、中国1、韓国1、アメリカ1、セルビア・モンテネグロ1、アルゼンチン1、ウズベキスタン1、トルコ1、オーストリア2、ドイツ4
参加資格:医学部4年以上もしくはそれに同等の者
参加費用:600 ユーロ (註1
DAAD奨学金:最高600ユーロ+渡航費補助(註2
公式言語:英語


外傷 ACLS の授業風景

プログラム概要
8月8日―11日:救急トレーニング(ダミー使用) 8:30-17:00

  • BLS(一次救急蘇生)、ACLS(二次救急蘇生)トレーニング

  • 神経疾患、外傷、循環器、産婦人科、薬物中毒、小児科トレーニング

  • 8月12日―22日:各科ローテーション 

  • 麻酔科1、産科1、救急車1、ER(救急) 2、ICU(集中治療室) 2

  • 基本的に一人でローテーション、1対1で指導医がつく

  • 時間は科によって異なる

  • 希望すれば夜勤、および休日のシフトも可能

  • 8月23日―25日:外科トレーニング 8:00-17:00

  • スポーツ医学、脊髄損傷、内臓損傷の講義

  • ATLS(外傷に関する救急蘇生)トレーニング

  • 病棟・手術室見学

  • トリアージ(災害時シミュレーション)

  • ギブス、縫合・結紮、エコー画像診断 実習

  • 8月26日:試験(実技、ペーパー)


    ベルリン小旅行

    本サマースクールのテーマは救急医療で、将来どの科にいくとしても必要とされ、かつ自分の興味のある分野でした。一昨年の冬に参加した、外国人医師・医学生対象の「医師・患者関係」(註3)コースのウェブサイトで、今回はベルリンの事務所がサマースクールを開催すると知り、また国際医学生連盟IFMSAのメーリングリストでも本サマースクールの告知があったため、早速申し込みをしました。

    プログラムは前記のように非常に密度が濃く、基礎トレーニングにはじまって、駆け抜けるように、最終日の試験に終わりました。研修したCharité病院は1710年に設立され、現在年間26万人の外来患者と10万人の入院患者を抱えますが、緑にかこまれた大きく清潔な構内にはいつも落ち着いた空気がありました。ローテーション中は医学生という身分で病院に入ったため、医師の指導の下で実際に医療行為をする機会が多く、基礎トレーニングで学んだことをすぐに実践することができる、よく練られたプログラムでした。残念だったのは、私がドイツ語を話せないために患者さんとのコンタクトがとれなかったことです。同じシフトを数人で回った際には、ドイツ・オーストリア出身の学生がその橋渡しをしてくれました。最終週は統計的なドイツの医療状況を学んだり、日本ではあまり数のない高価な医療器具の見学をしたり、病院をあげての災害対策を見学したりした後、教員を交えて各学生の出身国の情報を交換し、各国の医療条件に大きく幅があることを実感しました。

    参加者はほぼ同年代だったものの、1年生(アメリカ)から卒後2年目の医師(オーストリア)まで幅が広く、また、ヨーロッパ圏以外の学生にとっては、器具や薬名に不慣れだったので、特にはじめの一週間は理解度に差がありました。しかし、教官はいずれも教育熱心で、学生の成長を褒め上げ、数限りない質問に丁寧に答え、休日に自主的におこなった勉強会にも夜勤明けに参加して指導してくださいました。学生からの毎日のフィードバックにも、一日単位でプログラムを改良してくださり、その応答の速さには本当に驚いたものです。おかげで私たち学生もなんとかその期待に報いようと、高学年の学生がリードしながらいいチームワークをもって、厳しいスケジュールを乗り越えていきました。中でも技術向上に強い意欲をもった卒後2年目のオーストリア出身の医師や、何よりも医学が好きとすばらしい量の知識をもったエストニアの6年生の医学生は、皆をまとめあげて、この三週間をより意味のあるものへと変える先頭をきってくれました。

    熱心な教官・恵まれた医療環境・モチベーションの高い学生たちに囲まれて、こうした質の高い教育プログラムを経験できたことは今までになく、充実した生活の中で培われた友情が、この濃密で真剣に過ごした三週間の満足度を、さらに裏打ちしていることは言うまでもありません。

    ベルリンはとても文化的な街で、住人が外国人に対して開放的なため過ごしやすく、ぜひ多くの方々に訪れていただきたいと思う都市でした。私も今回の反省を活かして、徐々にではありますがドイツ語の勉強を始め、またいつかベルリンを訪問することを計画しています。偶然ベルリンで開かれたサマースクールに参加したことで、ドイツの良さに開眼することができたのは、これもまた何かの縁だと思っています。みなさんもぜひ、ドイツを訪れてみませんか?

    最後になりましたが、ベルリンでお世話になった病院の先生方、主催事務局の方々、濃い時間をともにした友人たち、そしてこうした私の生活を支えてくださったDAADドイツ学術交流会の皆様に感謝するとともに、これからもドイツと日本がより強い友好関係で結ばれ、ますます盛んな学術交流が続いていくことを祈っております。ありがとうございました。