ドイツ滞在の手引き
学期が始まったら

3−1 学位取得について
3−2 大学院共同コロキウムGraduiertenkolleg 
3−3 Mitarbeiter/in

3. 1 学位取得について

ドイツで学位取得を目指す場合、ドクターアルバイト(論文執筆)をする学生Doktorandとして認められる必要があります。これについては個々の大学、学科によって大分様子が異なるようですので、
付録Gにまとめてある個々の事例を参照してください。



3. 2 大学院共同コロキウム(Graduiertenkolleg)

いくつかの大学では、関連する研究分野の教授・ドクトラントが集まって共同研究をしたり、博士論文を執筆するドクトラントがその準備として自分の研究につ いて発表する場(大学院共同コロキウム/大学修了者のためのコレークGraduiertenkolleg;以下、GK)があります。これは、後継の研究者 を育成することがそもそもの目的ですが、このGKでお互いに意見を交換することで、より視野の広い研究につながるということが期待されています。このGK に参加するには、大きく分けて次の二通りの方法があります。(1) 正式なメンバーとして登録する、(2) 登録はしないが、その場に出席して意見の交換をする(あるいは、発言はしなくても、他のドクトラントの発表を聴くだけでも良いでしょう)。

このGKは各大 学の自発的な組織である一方で、その認可には一定の条件があり、学術機関からの予算も割り当てられる公的な組織といえます。そのため、GKに登録するため の選抜試験がある大学もあるようです。「グラドゥイールテン・コレークとは、そもそも、第一級の博士を養成することを目的として、五年前<書かれたのは 1997年ですから、おそらく1992年・・・カッコ内引用者>にドイツで試験的に始まった、複数の大学教員によって構成される研究機関であり、教員側か らの申請にしたがって、様々な審査を経て最終的にはドイツ学術振興会(Deutsche Forschungsgemeinschaft=DFG)から、三年間を一期として認定される。申請が認可されると、一期につき合計120万マルクほどの 予算がコレークにつき、コレークではその中から博士試験受験資格者=ドクトラントに学会参加のための旅費を出したり、コレークにおけるドクトラントの約半 数に奨学金を出したりすることが認められるという。・・・認定のための必要条件として、たとえば、そのコレークが国際的に業績を認められた優れた諸教員か ら構成されていること、コレークにおけるドクトラントたちの半数は別の機関[ドイツ学術交流会(DAAD)やさまざまな財団、政党など]から奨学金を得て いること、ドクトラントたちのためにセミナーや招待講演等の特別の催しが行われるべきこと、といったさまざまな条件を満たす必要がある。・・・したがっ て、逆に言えば、グラドゥイールテン・コレークとして認可されているということは、その機関が当の分野において優れた教員を擁しており、そこには多くの優 秀なドクトラントが集まっており、そこではドクトラントたちのための研究教育活動が活発に行われているということを意味することになるわけである。」(榊 原哲也「海外事情:ドイツ現象学運動の一面―ヴッパータールからの報告―」より)

 「あなたが、ドイツで博士号取得を希望しているにもかかわらず、論文指導を依頼出来る専攻学科の教授とのコンタクトが無い場合にはどうしたら良いでしょ うか。この場合における博士号取得への方法の一つに、大学修了者のためのコレーク(Graduiertenkolleg)があります。これは、既に大学を 修了した若い研究者を援助するための大学内の制度です。この場合、博士課程の学生は、大学での講義内容と結び付いた、体系的に構想された研究プログラムの 枠内で、自らの博士論文を準備する事になっています。つまり、あなたが応募する場合にも、大学の掲げる広い研究領域の中から、博士論文のテーマを選んで申 し込みます。このコースでは、共同研究プログラムと共同学習プログラムにおいて、個人の専門領域の垣根を取り払った、複数の専門領域にまたがる研究である 事に価値が置かれています。このコレークに属している学生は、このプログラムに参加している一人ないし複数の大学教員に指導を受けます。あなたの志望する 大学に、このコレークの制度、及び助成制度があるかどうか問い合わせて下さい」(DAAD東京事務所HP より抜粋)

「そのコレークが国際的に業績を認められた優れた諸教員から構成されていること」とあるように、正規登録したドクトラントは定期的な研究発表が義務づけら れているのが一般的なようです。GKの予算内で奨学金を支給されることもあります。詳しくは、指導教授に問い合わせるか、各大学(学部)のホームページに 案内が出ている場合、あるいはハンドブック(Studienhandbuch)に記述がある場合もありますので、そちらを参考にすると良いでしょう。「そ れに参加しているということはドクトラントとして認められているということ」を意味しますので、このGKへの参加をDAAD奨学金の延長のためと位置づけ るか、自分の博士論文のためと位置づけるかは人それぞれでしょうが、ドイツの大学で公にドクトラント(もしくはそれに準ずるもの)として認められ、関連分 野を研究している他の教授・ドクトラントと意見を交換することは、メリットになってもデメリットになることはないと思います。ポツダム大学言語学研究室の 場合、ベルリン・フンボルト大学言語学研究室と共同でGKを組織しており、ポツダム大学のみならずフンボルト大学の教授・ドクトラントと知り合いになるこ とができます。上に挙げたGKの定義の補足として、以下のウェブサイトを紹介しておきます。

http://www.sprachgeschichte.de/graduiertenkolleg/(ポツダム大学)
http://www.fu-berlin.de/forschung/gradkolleg/(ベルリン自由大学)
http://www.dfg.de/forschungsfoerderung/koordinierte_programme/graduiertenkollegs (上記DFG)
http://www.hochschulkompass.hrk.de/(Hochschulkompass)
(ポツダム大学 ドイツ言語学専攻/M.T.)
付録Hに補足を載せておきます。

3. 3 Mitarbeiter/in

Dozentin (講師)、Doktrand(日本で考える所の博士課程の学生)、ポスドク、秘書、技術員などの総称がMitarbeiter/inです。Diploma を取りに来ている学生や、studentische Hilfskraefteという学生や実習の学生は出入りするものの、研究室に常時いる人は、皆、給料を得ていることがほとんどです。

種類には色々ありますが、主に、ゼミナールや演習を担当する人達、教授の持っているプロジェクトを担当する人達、などです。この中でも、色々階級があるよ うで、ポスドクの中には、日本での「助手・講師」相当する地位もあるようです。Dozentinは、雇用形態は色々のようですが、主に、講義をする人で、 基本的に研究はしなくてもよいようで、教授とも独立した立場にあることが多いようです。2000年あたりからドイツではじまった大学院システムというもの があり、これは今までのDoktorand(ドクトラント)のあり方というのが、教授から直接雇われるために、教授のヒモになりやすく、不利な立場におか れることが多く、本来の研究に専念できないということを懸念して導入されたシステムで、これは教授から直接お金をもらうかわりに、国や教育機関からドクト ラント奨学金をもらうそうです。大学院コロキアムなどでの発表の義務はあるそうですが、普通のMitarbeiterよりは、自由が多いといえます。